この記事は2023年春の旅行記part1です。
「青春18きっぷ」を使用し、山科駅(京都府)を出発。JR東海道本線・山陽本線の普通列車で西へ進みます。
途中の街で下車して観光しながら進み、関門連絡船で九州へ上陸。鹿児島本線の鳥栖駅(佐賀県)まで行きました。
山科駅のネットカフェへ
2023年春の某日。夕食と風呂を済ませ夜遅くに家を出た筆者は、JR琵琶湖線(東海道本線)京都行きの終電に乗っています。
この後、山科駅近くのネットカフェで一泊して、翌朝の初電で九州方面に向かう予定。
琵琶湖線の列車は元々編成が長いこともあり、この時間はガラガラで快適です。夜は貨物列車が頻繁に通るので昼間とは別の路線に乗っている感覚。
遅れている草津線からの接続待ちのため、草津駅でしばらく停車しました。これが終電なので先に出るわけにはいかないんですね。
この時間帯は駅員さんがランタンみたいなライトを持ってホームに立っていて、なんか幻想的。
約15分の遅れで山科駅に到着しました。山科は京都の東隣の駅です。
地下道を通ってネットカフェへ向かいます。ここの地下道は木目調でオシャレ。深夜なので誰もいませんが、音楽は流れています。なんだか不思議な感覚。
7番出口を出たらネットカフェ「快活クラブ」が見えます。雨が降っていても気軽にアクセスが可能。
快活クラブには、ここ数年で鍵付き完全個室が増えていますが、山科店にはなかったので昔ながらのブース席(フルフラットシート)を選択。上が開いている席で寝るのは久しぶり。
やっぱりちょっと明るかったり、他のブースの音がしたりしますね。耳栓やアイマスクがあったほうが寝やすい。完全個室なら真っ暗にできるし、防音性もそれなりにあるのですが。
ちなみに完全個室にもデメリットはあります。風営法の関係で、店内で提供されたものを持ち込んで飲食できません。ドリンクもダメです。飲食する際は専用のオープン席に行く必要があるので少々不便。
熟睡はできなかったものの横になれたので体力は回復。4時間13分の利用で1,900円(税込)。内訳は3時間パック(1,100円)+延長料金(800円)
なお、6時間パックは1,980円(税込)なので、プラス80円であと1時間47分滞在できたということ。もう少し早く家を出ればよかったかも。
この店舗は受付も精算もセルフでした。店員と一切顔を合わせることなく利用できるという近未来的なシステム。すごいね。
山科~姫路
山科駅改札前に到着。朝5時前です。
ここから使用するのは青春18きっぷ。JR全線の普通列車1日乗り放題券が5回(人)分セットになったものです。
2023年現在の価格は12050円。1回あたり2410円。
普通列車というのは、新幹線、特急、急行以外のことなので、快速や新快速にも乗れます。(詳細なルールや特例に関してはJRのサイトでご確認ください)
名前に「18」と入っていますが年齢制限はなく、老若男女問わず使用可能。
自動改札は通れません。使用する日の最初の駅で駅員さんに日付を入れてもらい、有人改札から出入りすることになるのですが、今回はそのことで少々問題が発生。
初電の前なので駅員さんがおりません。インターホンでコールセンターと通話できる駅もありますが、ここにはなさそう。
どうしようかな~と、改札の前でウロウロしていたらやってきました。
もし来なかったら短距離の切符を買って入って、車掌さんか降りる駅で日付を入れてもらおうと思っていました(百数十円無駄になる)
無事ホームに入れたので姫路行き普通列車に乗ります。
5時台なのに多くの席が埋まっていたのは意外でした。滋賀から大阪や神戸に通勤する人が多いのかな?
外がだんだん明るくなり車内は混雑。雨が降っているので車窓風景はしっとりしています。沿線のいたるところで半分くらい散った桜を見ることができました。きれい。
7時半ごろ、姫路駅に到着。1分乗り換えの新見行きは混んでいたので見送って、次のに乗ることにします。改札を出てトイレを借りてから姫路城を遠目に見ました。
格安スマホのデジタルズームで撮ったのでかなり荒い画質に↓
今回の旅行にはミラーレスカメラを持ってきているので、そっちで撮ったらいいのだけど取り出しやすさはスマホが勝るからねぇ……。
山科~姫路:136.2km(営業キロ)
姫路~岡山
山陽本線の姫路駅以西には国鉄型の古い車両が現れます。
黄色一色になっているのは塗装コストを節約するためらしい。JR西日本は、エリアごとに決められた一色で鋼製の古い車両を塗っています。
ただ、この濃くて派手な黄色をチョイスした理由が気になる。地味な色の塗料は値段が高かったりするのかな?
外見は古そうですが、大半の車両はリニューアル工事によって新型車両と同じ転換クロスシートになっています。車内の居住性は悪くありません。
ただしサスペンションやモーターは昔のままなので、少々硬めの乗り心地だったり走行音が賑やかだったりはします。

古い車両ならではのコイルばね。無骨な見た目でカッコいい
姫路に来る黄色い電車には113系と115系の2種類がありますが、見た目はほぼ同じなので鉄道ファン以外は区別してなさそうです。
9:29発の岡山行きに乗りました。この時間帯は姫路~岡山直通便があるのが嬉しい。朝夕以外は相生駅乗り換えになるので面倒です。
姫路を出発。

動画より切り出し
山陽新幹線の高架をくぐって西へ。

動画より切り出し
ブゥウウウウンと唸るモーター音はかなりの迫力。一般客にとっては騒音かもしれないけど、鉄道ファンとしてはこの音が聞けるのは嬉しい。
JR化後も30年以上頑張ってきた国鉄型車両ですが、老朽化により徐々に数を減らしています。国鉄型が完全に徹底した路線も多いです。
草津線にいた緑(抹茶色)の仲間は今年(2023年)3月末で引退。山陽本線の黄色い電車に乗れるのもあと数年かもしれません。
大阪~神戸の沿線では半分散っていた桜ですが、このあたりではまだ見頃の木が多いようです。少し気温が低いのかな?
相生を過ぎて山間部に入ると満開の桜も残っており、いい景色が見られました。
また線路沿いの斜面にはかなり派手なピンクの花が咲いています。まばらに生えているけど、なんの植物だろう?

動画より切り出し
姫路~岡山:88.6km(営業キロ)
岡山~広島
岡山で金光行きに乗り換えて終点まで行きます。西に進むなら一本後の三原行きを待てばいいのですが、一度金光駅で下りてみたかったので。
金光駅の近くには金光教の本部があり、信者専用の団体臨時列車(金光臨)が来るので鉄道ファンには有名です。
「金」と書かれた旗がホームにたなびく。
駅南側にはかつて使われていた金光臨専用ホームの痕跡がありましたよ。
列車到着時には教団の案内役と思われる二人組がホームに立っていました。宗教との関係が深い駅だけあって、独特の雰囲気が漂っていますね。
あとから来た岡山発三原行きに乗車し糸崎まで進みます。糸崎駅は広大な敷地を有し、多数の留置線があります。かつて機関区があった名残だそうです。
国鉄型は黄色の他に湘南色(かぼちゃ色)も停まっていました。(写真はないです……)
糸崎始発の岩国行きには新型車両、カープ色の227系「Red Wing」が来ました。
車内のシートも赤が基調になっていてカッコいい!
色は個性的ですが、車両のデザインや設備は北陸エリアの新車(521系3次車)との共通点が多いように感じました。
JR西日本は転換クロスシートを積極的に採用しているところが好き。転換クロスシートなら進行方向に向いて座れますし、知らない人と向かい合わせになることもありません。
ただ上の写真のように、進行方向によってドア付近がボックスシートになるので注意。
新車は乗り心地がいいですね、黄色い電車に比べて揺れが柔らかい。電車の走るリズムが眠りを誘い意識が遠のきます。3時間くらいしか寝れてないから眠気がすごい。
まあ、寝過ごしても宿を予約している岩国が終点なのでなんとかなりますが。
この先、山陽本線は広島の手前まで山岳地帯を走ります。急勾配が連続する瀬野八(セノハチ)と呼ばれる区間があり、貨物列車に専用の補助機関車を連結することで有名です。
また、沿線には2024年廃止予定の珍しい新交通システム「スカイレール」があります。いつの間にか寝てしまって車窓が見られなかったのは残念。
岡山~広島:161.3km(営業キロ)
広島観光
広島駅に着く前に目が覚めました。下車して駅に併設された商業施設でお好み焼きを食べようとするも、大混雑だったので断念。
広島電鉄の長い路面電車に乗車。輸送力はすごいけど客も多くてかなり混んでます。紙屋町東駅で下りて「みっちゃん いせや」でお好み焼き(そば肉玉)を食べました。
値段に対して量が多くてびっくり。2人前くらいありそう。少食の人は食べ切れないかもしれません。「お一人様、一品以上のご注文をお願いします」という注意書きの意味がわかった。
とはいえ、お腹が空いていたので完食できました。香ばしく、ソースが効いていてとても美味しかった。
外に出ると結構雨が降っていますが、地下道を通って原爆ドームへ。写真や映像では何度も見ているけど、やっぱり実物は違いますね。色々なことを考えさせられました。
欧米人観光客が真剣な顔で見入っている光景も印象に残りました。
筆者は広島県に何回か訪れていて、宮島、呉、尾道に行ったことはありましたが、原爆ドーム見学や市内観光は今回が初めてでした。
次に広島城へ歩きます。
お城のある公園の手前まで来たものの、道路に歩行者用信号が見当たらず渡り方が分かりません。しばらく迷った後、地下道の入り口(↓)を発見。なんとかお城にたどり着けました。
広島城は門(表御門)も立派。
元の天守閣は原爆によって倒壊。現在のお城は昭和33(1958)年に鉄筋コンクリートで再建されたものだそうです。
内部は博物館になっています。復元されたお城では一般的ですね。最上階からの眺めはなかなか良い。
ここにも外国人観光客が多く、ようやく感染症が収まったのだと実感できました。自分が海外に行くことも可能になったので、そろそろ英会話の勉強をしようかな……。
天気が悪いし寝不足で体力も尽きそうなので今日の観光は終了。宿のある岩国駅へ移動することに。
広島駅ではなく隣の新白島(しんはくしま)駅へ歩きます。お城の天守閣から約1.3km。微妙に遠い。雨が強くなり濡れたけどなんとか到着。
この駅のJR線は方面ごとにホームの入り口が分かれている面白い構造。
岩国行きは黄色ではなく赤帯の新車がやってきました。広島周辺からは黄色が撤退しているのかな?
乗り込んで広島を後にします。天気の良い日にまた来たい。平和記念資料館など行ってない施設も多いですし。
新白島~岩国
乗車時点では混んでいたものの途中から人が減って座れました。やったぜ!
約50分で岩国駅に到着。駅前のアーケードが立派。昔はかなり栄えていた気配を感じます。
駅から徒歩3分のシティホテル安藤に宿泊。旅行支援の割引もあり4,000円台で泊まれましたが、清潔感があり居心地の良いホテルでした。
フロントの人の接客がとても丁寧だったのも記憶に残っています。
疲れていたので夕食は食べずそのまま就寝。チェックイン前になにか食べ物を調達しておけばよかった……。もう外に出る元気が残っていません。
新白島~岩国:39.6km(営業キロ)
岩国~下関
翌朝、全国旅行支援のクーポン(旅々やまぐち割プラス)を使い、駅のセブンイレブンで朝食を調達。
本来列車がない時間にホームに入るも、遅延の接続待ちで山陽本線、岩徳線どちらもホームに停まっていました。ラッキー。
山陽本線を選んだけど、岩徳線の方に乗っておけばよかったかも。徳山で接続待ちをするので、どっちに乗っても後の旅程に影響しません。昔の名残の無駄に長いホームが見たかった。
なお、岩国には有名な錦帯橋がありますが、行ったことがあるので今回はスルー。
乗った車両はおなじみの黄色一色のやつ。すれ違った岩国行きも黄色一色。
年代物の車両ですが転換クロスシート搭載なので快適です。徳山あたりまでは通勤通学客で結構混んでいたけど途中から空いたので座れました。
今回はモーターが搭載されていない車両に乗ったので比較的静かでした。この列車は乗換なしで下関まで連れて行ってくれるので楽ちん。
新山口駅の車両基地は国鉄の香りが漂っていて良かったですねー。連結をバラされたキハ40系気動車が転車台の周りに放射線状に並べられていました。
SLやまぐち号用だと思われる客車も見られたし、電気式気動車の試験車両DEC700形もいました。写真を撮る余裕がなかったのが残念。次来るときは下車してゆっくり見たい。
遅れて岩国を出発したものの下関の到着は定刻通りでした。徳山と新山口で長めに停まるダイヤなので遅延の回復も簡単そう。
所要時間は長めの4時間。時間帯によっては岩国から3時間20分台で下関まで行く便もあります。
岩国~下関:
160.3km(営業キロ)
164.7km(運賃計算キロ)
岩国~櫛ヶ浜には運賃計算の特例が存在し、山陽本線経由でも岩徳線経由の短い距離で計算されます。(櫛ヶ浜は徳山の隣駅で山陽本線・岩徳線の分岐駅)
また、ややこしい話になりますが、岩徳線は地方交通線なので割増運賃が適用されます。したがって、岩国~櫛ヶ浜の営業キロは43.7kmですが、運賃計算時には換算キロの48.1kmとして計算されます。
距離が割増になっても山陽本線経由の65.4kmよりは短いです。山陽本線経由の場合は実際乗った距離より安い運賃になるので、ちょっとだけ得した気分になれますね。18きっぷなど乗り放題の場合は無関係ですが。
ちなみに過去の一時期は岩徳線のほうが山陽本線で、現在の山陽本線は柳井線と呼ばれていたようです。非電化ローカル線の岩徳線に無駄に長いホームがあるのもそれが原因。
下関~門司港(バスと船)
山陽本線の本州側最後の駅、下関で下車。
東口から出て、駅前にあるシーモールへ。お昼を食べます。
1Fのフードコートで、がっつり市場の唐戸(からと)丼を注文。新鮮な甘エビや魚の刺し身が乗っていて900円。お得。(写真がなくてすみません)
食後、外に出たら天候が回復していたので、船で門司港に渡ることにしました。駅前から路線バスに乗って船着き場のある唐戸に移動します。
唐戸バス停から少し歩くとカモンワーフに到着。フグの提灯がいっぱい。
近くの「唐戸ターミナル」で門司港レトロ行き関門連絡船のチケットが買えます。巌流島に行く船もここから出ているようですね。
船の運賃は400円でした。唐戸までのバスは220円だったので、船ルートの運賃は合計620円。一方、JRの下関~門司港の運賃は280円です(2023年現在)
18きっぷ使用中なので電車に乗れば追加の出費はないけれど、船は乗ること自体が楽しくて観光になるからよし。電車は海底トンネルを通るので暗くて何も見えないですし。
(鉄道ファン的には、デッドセクションで電気が消えるのを見る楽しみはあるけど……)
そうそう、今回は時間の都合でスルーしていますが、下関には魅力的な観光地がたくさんあるので時間のある人は寄ってみてください。
あと、関門海峡の渡り方は色々あって、鉄道(新幹線、在来線)、自動車(高速道路、国道)、船のほか、関門トンネル人道を歩いて渡ることもできます。
さて乗船。日中は20分に1本の間隔で出ているので乗りやすい。
出港しました。振り返ると左側に見えるのが乗る時使った桟橋、右側がカモンワーフです。
船の出発後すぐ進行方向左手に関門橋が見えてきます。高速道路の橋です。
2023年現在、関門海峡に架かる橋はこれだけ。国道と新幹線は橋の奥(東側)をそれぞれ別の海底トンネルで通過。在来線のトンネルは関門橋からだいぶ離れた南西の方にあります。
なお、在来線の関門トンネルよりさらに西に、2本目の道路橋を架ける計画があるらしい。
対岸の門司港に近づき、建物が大きく見えるようになりました。
乗船時間は約5分。あっという間に到着。
九州に上陸しました。
船をつなぐ杭がサビサビでカッコいい。
下関側と違い、門司港側は船着き場と駅が近いです。船を降りて100m歩けばJRの門司港駅に着きます。天気のいい日は船ルートも楽しいですよ。
九州鉄道記念館
門司港駅の近くにある九州鉄道記念館に寄ります。駅から徒歩3分のアクセス。入館料は大人300円。JAFの会員証の提示で20%引きになりました。
屋外の車両展示場では、九州で活躍した9種類の車両が駅の留置線に沿って並べられています。
↓キハ07 41。戦前製の気動車。
先頭が半円形のデザインが特徴的。現代ではこういうデザインの車両は見ないので逆に新鮮。元はガソリンエンジンだったのが、戦後ディーゼルエンジンに換装されたそうです。
↓ボンネットがカッコいいクハ481-603。
元はグリーン車のクロ481-5として製造され東北で走っていた車両が、鹿児島に転属して普通車に改造されたとのこと。
↓クハネ581-8。昼間は座席車、夜は寝台車になる便利な特急用車両。
この車両は一度普通列車用の715系に改造され使われていましたが、廃車後、特急時代の塗装に戻されたそうです。
車内には普通列車の仕様が残されており、ロングシートやつり革があるのが面白い。
座席を寝台にした状態も展示されています。
ちなみに581・583系の普通列車化改造の際、中間車に運転台を取り付けたものがあります。真っ平らの断面が食パンに似ていることから、食パン電車と呼ばれ鉄道ファンから親しまれていました。
↓参考:715系の仲間、北陸エリアの食パン電車419系。

2010年、地上駅時代の北陸本線富山駅で撮影
581・583系から普通列車に改造された車両のうち、交流専用が715系(九州用)、交直流両用が419系(北陸用)です。現在はすべて廃車。
車両展示場ではこれらのほか、機関車や客車、石炭車も見られます。
本館の中にも九州の鉄道に関する展示がありますが、規模は小さくこじんまりしています。JR本州三社の鉄道博物館(京都、名古屋、大宮)のようなものを期待してはいけません。
とはいえ、九州の鉄道の歴史が学べますし、短い滞在時間でも見て回れるのは魅力です。本州の方は急いで見ても2時間は必要ですからね。
ミュージアムショップで「もじこう」グッズを買って、駅に向かいます。
門司港~博多~鳥栖
門司港の駅舎はとってもお洒落。これ自体が観光スポットと言っても過言ではないでしょう。国の重要文化財に指定されています。
2012年から補修工事が始まり2019年に完了。大正時代の創建時の姿に戻ったそうです。
10年くらい前に来たときはこんな外観ではなく、手前に屋根が付いた通路みたいなのがあったはず。駅舎自体もかなり年季が入っていた記憶があります。
中もすごく綺麗になってる!
↓補修工事前に撮った写真がありました。改札内から外を見た様子。
同じ位置で撮影した写真がないので純粋な比較はできませんが、雰囲気はかなり違いますね。大掛かりな補修が行われたことが分かります。
さて、18きっぷを見せてホームに入りましょう。
門司港駅は鹿児島本線の起点。JRの線路はここで途切れており、下関へ行く場合は、2駅隣の門司駅で山陽本線に乗り換えることになります。
ひらがなの駅名標はレトロ感と可愛らしさを併せ持っていて、独特の魅力があります。グッズになるのも分かる。
ホームの屋根は木とレールで作られており、ここにも歴史を感じます。
乗り込む列車は区間快速二日市行き。二日市駅は博多駅より先の駅です。
車内は転換クロスシート。すばらしい。
今回乗った区間快速ですが、名前に「快速」と付いていても速達性はイマイチ。門司港~福間の56.6kmは各駅に停車し1時間20分くらい掛かります。
福間~博多~二日市の35.8kmは快速運転をするものの、約半数の駅に停車します。
急ぐ人は特急か新幹線を利用したほうがよさそう。筆者の場合、18きっぷ利用なのでこれで行くしかないですけどね。快速という名前に惑わされず、各駅停車だと思って乗れば腹も立ちません。
鹿児島本線の車窓風景は、山陽本線のものと大きく異なっていて新鮮な感覚。うまく言えないけど、九州の景色は本州のものとは何かが根本的に違うんですよね。
地形、植生、街の成り立ち……原因はわからないですが、旅行してる感じがして楽しい。外国に来た感じと言ってもいいかも。
あと、鹿児島本線は日中なのに結構混みますね。JR九州エリアでは減便・減車による混雑が社会問題になっていると聞いてはいましたが。
博多が近づいてくると都会感がすごい。あと、駅のホームの感じもなんか本州と違うんだよなぁ……。
博多で一旦下ります。
大きい街ですね。地下街が広大で迷いそう。3月27日に地下鉄七隈線が博多まで延伸開業するというポスターがありました。複数の路線が乗り入れる交通の要衝ですねぇ。
ところで18きっぷは今日で使い切ってしまいます。翌日使う鳥栖~長崎の「かもめネットきっぷ」と、鹿児島空港~関空の航空券は購入済みですが、長崎~鹿児島の切符は未購入。
というわけで、博多駅周辺の金券ショップを巡ったのですが、めぼしい切符はありませんでした。残り1回の18きっぷは3500円で売られていたけどパス。肥薩線が災害で不通ですし、JRの普通列車だけで鹿児島に行くのは大変。
三セクの肥薩おれんじ鉄道も乗れる「旅名人の九州満喫きっぷ」の残り1回分や、JR九州の株主優待券(運賃・料金半額)の安いのがあればよかったんですけど。
安い切符は諦めて宿を取っている鳥栖駅に向かいます。夕方5時過ぎの帰宅時間に重なり、とんでもない混雑に巻き込まれました。ホームは人だらけ。
博多が都会だからというのもあるでしょうけど、減便の影響が出ているのかなと思ってしまいます。 待っていると転換クロスシートを取っ払ってドア付近を広くした車両が来ました。
減便・現車対策らしいですが、これじゃあ日中は席が少なくて不便だよなぁ……。途中駅であとから来た快速に乗り換えて鳥栖へ。こっちはロングシートの車両でしたが、そこまで混んでなかったです。
無事鳥栖駅に到着。歴史を感じる駅舎ですね。明治時代に建てられたのだそうです。門司港駅駅舎は大正時代なので、より古いということ。
駅の中には、うどん・そば屋、駅弁屋、パン屋など色々な店が入っていて賑わっていました。九州は全体的に四国より栄えているというか、活気のある印象を受けます。
……別に四国をdisってるわけじゃないですよ。四国には毎年何回も訪れているのでどうしても比べてしまうんです。
四国にもこういう昔ながらの駅舎は残っているけど、駅の内部や周辺の町はもっと静かな感じ。これだけ賑わっているのを見ると軽い衝撃を受けます。
かつて四国の主要な駅にはウィリーウィンキーというパン屋が入っていましたが、2020年になくなってしまいました。
四国と九州はどちらも本州以外の島ですが、人口などのデータを見れば分かるように結構規模が違います。福岡県だけで四国4県の合計より人口が多いので、賑わいに差が出るのは必然か……。
あと、鳥栖駅のある佐賀県はシームレスに福岡とつながっているのがいいですね。四国は各県が険しい山で分断されているのが厳しい。
門司港~鳥栖:106.8km(営業キロ)
駅徒歩1分のサンホテル鳥栖に宿泊。いい感じ。綺麗。朝食バイキング付き。
全国旅行支援クーポン「佐賀旅PAY」を使用し、コンビニで夕食を調達。2000円あればたくさん買えますね。
翌日は朝早くに佐賀県を去って長崎に行ってしまうので、本日中にクーポンを使い切る必要がありました。佐賀県にも観光地は沢山あるので、スルーするのはなんだか申し訳ない気がしますが……。
西九州新幹線に乗るのと、長崎観光が今回の旅の主目的なので勘弁してほしいです。次来るときは佐賀観光します。吉野ヶ里遺跡とか行きたい。
乗車距離&運賃
山科から鳥栖までJRに乗って移動した距離は、692.8km(営業キロ)でした。運賃計算キロだと4.4kmプラスして697.2km
広島~新白島と下関~門司港はJRを利用していないので差し引いています。
通常の乗車券で移動する場合の運賃は、
- 山科~広島:6,600円
- 新白島~下関:3,740円
- 門司港~鳥栖:1,850円
合計で12,190円になりますが、今回は18きっぷ二回分で行ったので4,820円で済んでいます。
JR以外の運賃は、
- 広島電鉄(広島駅~紙屋町東):200円
- バス(下関駅~唐戸):220円
- 関門連絡船:400円
合計820円。運賃すべての合計は5,640円でした。
ちなみに船などを使わずJRだけで山科から鳥栖へ行くと、695.4km(営業キロ) 699.8km(運賃計算キロ)になり、運賃は10,530円になります。
それにしてもJRの運賃計算って複雑です。本州三社と北海道、四国、九州にまたがる場合も、加算運賃が発生します。
山科~鳥栖を一枚の乗車券で乗る場合を考えます。運賃計算キロは699.8kmなので、本州三社のみの場合は「681~720km」の10,340円になりますが、門司~鳥栖はJR九州エリアなので加算運賃が発生。
門司~鳥栖の営業キロは101.3kmなので、加算額表を見て「101~120km」の190円を追加します。
10,340円+190円=10,530円 が発券される乗車券の金額になります。
路線検索やJRの予約サイトを使うと運賃は自動計算されるので、細かい仕組みを気にしている人は少ないと思います。今どき時刻表の後ろに載っている表を見て運賃計算する人はいるんでしょうか。
ただ裏側では意外に複雑な処理が行われているという話でした。
ところで、今回は二日かけて観光しつつ移動しましたが、山科~鳥栖は18きっぷを使って一日で移動することが可能です。
山科5:15発の初電に乗れば、19:52に鳥栖到着。所要時間14時間37分(うち乗車13時間6分)です。
ほぼ乗りっぱなしなので相当疲れるとは思いますが、安く移動することが目的ならアリかもしれません。筆者はやりませんけども。
長崎方面だと、長崎本線肥前大浦駅まで行けるらしい(22:06着)
鹿児島方面だと、鹿児島本線八代駅22:37着。18きっぷのみではここまでですが、肥薩おれんじ鉄道に課金すれば出水駅(00:04着)まで行けますね。
次回は「かもめネットきっぷ」を使い、在来線特急と西九州新幹線を乗り継いで長崎へ移動。観光します。
次回はこちら↓
