この記事は、ジェイアール東海バスが運行する高速バス「新東名スーパーライナー新宿」に乗り、東京から名古屋まで移動した記録です。
車両は引退間近の国産2階建てバス、三菱エアロキングです。車種を狙って予約したわけではないのでラッキーでした。
なお、時期は2024年1月。東京旅行を終え家に帰る時の話です。
前回はこちら↓
秋葉原に寄る
これまで数日滞在していた山谷の宿にもお別れです。窓から見えるスカイツリーと空が綺麗でした。
今回乗る高速バスは昼前に東京駅を出発するので、午前中は少し観光ができます。まずは南千住から日比谷線で秋葉原へ移動。
早めの昼食は天丼とそば。
秋葉原は朝が遅く、昼前になるまで開かない店も結構あります。ラジオ会館の建物自体は10時に開きますが、中の店舗の開店はもっと遅かったりします。
開店後すぐ買い物を済ませ、京浜東北線で東京駅へ。
東京駅八重洲南口へ
東京駅は多くの路線が乗り入れているので構内が広く構造も複雑です。八重洲南口はあまり利用したことがないので、無事たどり着けるか心配……。
秋葉原のお店が開くのを待っていた関係で、時間にあまり余裕がありません。乗り遅れたらマズいのであらかじめ構内図を何度も確認しておきました。そのおかげで無事出口を発見。
迷わなければ意外と短時間で移動できるみたい。電車の何号車に乗るかによっても移動時間が変わりますね。南口なら南側の車両に乗っておいたほうがよさそう。
外はこんな感じ↓さすがは日本の玄関口東京駅。八重洲側も垢抜けています。
近未来感がありつつも、木が植わっているのがいい。
高速バスのきっぷうりばもあります。私はネットで購入済みなので寄りませんでしたが、空席があれば直前でも購入可能。
今回乗るのは名古屋行きですが、ここからは東北や北関東方面へのバスも出ています。緑のJRマークは、JR東日本グループのジェイアールバス関東↓
エアロキングに乗車
秋葉原で買い物したので発車時間ギリギリかと思っていたけど、意外と余裕がありました。高層ビルが立ち並ぶ八重洲の風景を眺めて待っていると大きなバスが到着。
これが今から乗る「新東名スーパーライナー新宿」の三菱エアロキングです。
2階建てはさすがに大きい。バス停に壁がそそり立っているような印象を受けます。
車内の階段を上がって2階へ。3列シートの窓側C席を予約しています。
ズラッと並ぶ座席。1階席と合わせ結構な人数が乗れそう。
独立タイプの広い座席。乗車時間は約6時間とまあまあ長めですが、快適に過ごせそうです。
車内ではWi-Fiが使えますし、各座席にコンセントが付いています↓
運賃を鉄道と比較
東京~名古屋は需要の多い路線です。より安価な4列タイプのバスも数多く運行されていますが、快適性を取って3列のこちらを選択。
3列シートは比較すると高いとはいえ「早売1」で4,200円でした。「早売1」の運賃は乗車日や便によって変動しますが、最大で4,500円。割引がない正規運賃でも5,500円です(※2024年10月現在)
これは、東京~名古屋を鉄道で行く場合の運賃6,380円より安価になっています。この6,380円はJRの在来線(普通列車)のみで行く場合の運賃で、新幹線に乗ると追加で特急料金が掛かります(自由席で4,180円)
というわけで、値段で選ぶならバスが圧倒的に有利です。所要時間は圧倒的に新幹線が短く1時間40分程度ですが。
なお、在来線の普通列車を乗り継いでも、6時間程度で名古屋まで到達可能です。「新東名スーパーライナー新宿」と同じくらいの所要時間です。ただし、乗り換えが多く、座れる保証がないのに運賃はバスより高くなります。
また、新宿を経由しない「新東名スーパーライナー」などの場合は、渋滞がなければ5時間少々で東京~名古屋を移動できます。
したがって、在来線乗り放題の企画乗車券が使える時期を除き、東京~名古屋を在来線で移動するメリットは薄そうです。途中下車して観光できるところくらいかな。
バスタ新宿
さて、バスは東京駅を出発しましたが、車内はガラガラ。乗客の大半はバスタ新宿から乗ってきました。新宿駅南口の巨大高速バスターミナルです。
写真を見ると何の変哲もない屋上に見えますが、立体構造のターミナルになっています。
4階(最上階)が「高速バスのりば」と「待合室」
3階が「高速バスおりば」と「タクシーのりば」
2階は出入り口とJR新宿駅の改札です。
1Fに相当する部分には新宿駅のホームと線路があります。実はこの建物、山手線、中央線など複数の線路の上に建っています。電車の頭上に人工地盤を作って建てたそうです。
バスタ新宿は日本の高速バスの最大拠点と言っても過言ではなく、青森から福岡まで日本の大部分へ直行便が出ています。長距離便として有名な「はかた号」もバスタ新宿発着です。
ところで夜行バスは安いですが体力的にハードなので、個人的にはあまり積極的に乗りたくはありません。特に長距離便はつらい。
以前、新宿から四国(高知)まで夜行バスに乗ったことがありますが、3列シートであっても長時間乗っていると体にこたえました。十分に眠れず、翌日の体調もよくなかった。
4列シートだと完全に苦行です。そもそも、椅子でぐっすり寝るのは難しい。バスよりも揺れの少ない鉄道でも、座席車の夜行列車はやはりつらかった記憶があります。
かつては快速「ムーンライトながら」や急行「能登」(489系)など、比較的安価で乗れる夜行列車が運転されていましたが、これらに寝台はなく昼行便と同じく椅子のみでした。
今やほとんどの夜行列車は廃止され、その役割は夜行バスに取って代わられています。新幹線を使わない人にとって、東京の玄関口は東京駅や上野駅ではなく、バスタ新宿になったと言ってもよさそうです。
時代の流れとはいえ、鉄道好きとしてはちょっと残念。定期夜行列車の最後の生き残りである「サンライズ瀬戸・出雲」には、廃止される前に一度は乗ってみたいです。
バスタ新宿~海老名SA
さて、ほぼ満席になったエアロキングはバスタ新宿を出発。スロープを下って道路に出ると、目の前が新宿駅南口です。
この道路は甲州街道(国道20号)ですが、高架になっていて2階相当の高さを走っています。道幅が広いし両側に建物があるので普通の地面にしか見えない……。
新宿駅南口の駅名看板は、絶妙に時代を感じさせる姿をしています↓
最近できた駅では見かけないスタイル。駅名の漢字を切り抜いて、屋根の上に文字が宙に浮いている感じで設置されています。仙台駅もこのスタイルだった思います。
フォントの素朴でどこか優しげな雰囲気も好き。大昔に設置されたわけではないのでしょうけど、それでもレトロ感があります。
写真を白黒に変換するとこんな感じ↓ますますレトロ感が出たかも。
このあとバスは首都高を東京ICまで走ります。この「東京インターチェンジ」という名称は特別感があって昔から好きですね。世田谷や用賀ではなく、あえて広い地名である東京を名乗っているところがいい。地方を出発してこのICまでやってきた時には、「いよいよ東京に着いたんだな」という謎の高揚感がありました。
ところで、このバスは「新東名スーパーライナー新宿」という名前ですが、東京ICから御殿場JCTまでは(旧)東名高速を走ります。
そもそも新東名は、神奈川県の海老名南JCTが東京方面の終端で、現状では都内まで伸びる予定はないようです。都内は開発や宅地化が進み過ぎて、建設用地の確保が困難なのでしょうね。
というわけで、数年後に新東名が全通しても、海老名から東京都心までは相変わらず旧東名を走ることになります。
さて、東京駅を出てから約1時間半、バスタ新宿からは約1時間が経過し、最初の休憩場所である海老名SAに到着しました。私は東京から乗ったのでちょうどいい休憩タイミングでしたが、新宿から乗った人は少々早いと感じるかもしれません。
海老名SAは東名起点の東京ICから約30kmの位置に設置された、下り線では最初のサービスエリアです。
首都に近いこともあって利用者もかなり多く、ショッピングやグルメなどを楽しめるため、休憩場所にとどまらず観光の目的地にもなっているようです。海老名メロンパンが名物。
ただし、高速バスで訪れた場合、休憩時間は10分から長くても30分程度なので、ゆっくり買い物や食事をする余裕はありません。トイレを済ませて軽食や飲み物を購入するのが精一杯ですね。
駐車場が広いSAだと、バスに戻るまでの時間も必要になります。さらに、駐車場所を覚えておかないと、迷って出発時間に間に合わないおそれもあるので気をつけたいところ。
遅れると他の乗客や運行会社の迷惑になるだけでなく、最悪の場合、置き去りにされることもあるようです。実際そういう事例があったみたいですし、法律上も遅れた客を置いて出発するのは問題ないらしい。
まあ、大抵は人数確認があるので、よっぽど遅れたり行方不明にならない限り大丈夫でしょうけど、それでもお互いのために時間を守るのは大切です。
※次のページに続きます