京都観光の玄関口である京都駅を出発。電車、ケーブルカー、ロープウェイ、バスと様々な交通機関を乗り継ぎ、比叡山を横断。琵琶湖側の大津市にある比叡山坂本駅まで移動した記録です。
利用した交通機関、ルート、運賃のまとめもあります。
比叡山経由で琵琶湖へ
京都から比叡山を経由して琵琶湖側の大津市へ移動したわけですが、単純に移動するだけならJR湖西線を利用するのが一般的です。
京都駅から比叡山坂本駅へ向かう場合、JR湖西線なら乗り換え不要で、運賃は330円と安く、所要時間は20分未満です。
いっぽう比叡山経由の場合、数多くの乗り換えが発生し、運賃は3000円近く必要です。また、所要時間は乗り継ぎが良くても2時間半程度掛かります。
(※運賃・所要時間は2024年3月現在のもの)
比叡山経由ルートは基本的に、比叡山にある延暦寺などを観光する際に使われるルートです。京都から琵琶湖側へ抜けるためだけに利用する人は少ないでしょう。
とはいえ、ただ乗り通すだけでも楽しいルートになっています。
ケーブルカーやロープウェイなど、日常生活ではなかなか乗れない乗り物を体験することができます。2種類のケーブルカーに1日で乗れるルートは珍しいです。
ルートの詳細
利用した路線名を列挙します。
- 京都駅~東福寺駅:JR奈良線
- 東福寺駅~出町柳駅:京阪電車(京阪本線・鴨東線)
- 出町柳駅~八瀬比叡山口駅:叡山電車(叡山本線)
- 八瀬比叡山口駅~ケーブル八瀬駅:徒歩(約5分)
- ケーブル八瀬駅~ケーブル比叡駅:叡山ケーブル
- ケーブル比叡駅~ロープ比叡駅:徒歩(約1分)
- ロープ比叡駅~比叡山頂駅:叡山ロープウェイ
- 比叡山頂駅~比叡山頂バス停:徒歩(約10分)
- 比叡山頂バス停~東塔バス停:路線バス(各社)
- 東塔バス停~ケーブル延暦寺駅:徒歩(約7分)
- ケーブル延暦寺駅~ケーブル坂本駅:坂本ケーブル
- ケーブル坂本駅~比叡山坂本駅:路線バス(江若交通)
かなり多くの交通機関を利用するため、文字で見ても分かりづらいと思います。ということで図を作りました。まずは地図上で路線をそれぞれ色分けしたものです。
次の図はより単純化して駅名・路線略名を入れたものです。
なお、叡山ケーブル・ロープウェイは冬季運休です。詳しい運休期間は京福電気鉄道株式会社の公式サイトにてご確認ください。
ではここから、利用した交通機関について順番に写真を使って紹介します。
なお、この記事は2023年9月の旅行を元に作成していますが、一部、別の日に撮影した写真も含まれています。ご了承ください。
京都~東福寺:JR奈良線
京都駅から出町柳駅まで行く路線バスもありますが、京都市内のバスは混雑が状態化しているので、鉄道のみで移動するルートを紹介します。
まず京都駅から利用するのはJRの奈良線です。奈良線は8~10番のりばから発車します。新幹線のりばに近い位置あるので、新幹線で遠くからやってきた人には便利だと思います。
(↓)列車の奥に見えているガラス張りの高い壁が新幹線の駅舎です。
東福寺駅には快速も止まるので、一番先に出る列車に乗ればOK。京都を出れば次が東福寺。あっという間の到着です。ここでJRの改札を出て京阪電車に乗り換えます。
京都~東福寺:運賃150円、所要時間約3分
(※以下運賃、所要時間は2024年3月現在のもの)
東福寺~出町柳:京阪電車
東福寺から出町柳までは京阪電車に乗ります。1番のりば(三条・出町柳方面)に来た列車に乗れば大丈夫です。
出町柳まで行かず三条で止まる列車がありますが、後から来た特急などに乗り換えができるので問題ありません。
また、出町柳行きにも途中で特急などに接続する便があります。急ぎたい場合は乗り換えましょう。
京阪の出町柳駅に到着したら、叡山電車の出町柳駅へ移動します。改札を出て地下通路を進むとすぐです。
東福寺~出町柳:運賃280円、所要時間12~20分程度
補足:京都~出町柳の別ルート
JR奈良線と京阪電車を使い出町柳に向かいましたが、鉄道ルートは他にもあります。
京都駅から京都市営地下鉄烏丸線に乗車。
烏丸御池駅で京都市営地下鉄東西線に乗り換え、三条京阪駅で下車。
徒歩で三条駅に移動し京阪電車に乗り出町柳に行くというものです。
烏丸線が混みやすいのと乗り換えが増えるのが難点ですが、地下鉄1日券をすでに持っている場合はお得かもしれません。
出町柳~八瀬比叡山口:叡山電車
叡山電車の出町柳は地上駅です。
叡山電車には貴船口・鞍馬方面の鞍馬線と、八瀬比叡山口方面の叡山本線があります。今回は比叡山に行きたいので八瀬比叡山口行きに乗ります。
特徴的なデザインの観光列車「ひえい」が来ることもあります。
この車両は特別な見た目をしていますが、予約や追加料金は不要です。普通の乗車券やICカードで乗れます。
叡山電車は観光路線であると同時に地域住民の足にもなっているようです。終点付近ではほぼ観光客のみになりましたが、途中までは地元の方の乗り降りが多く見られました。
約14分で終点の八瀬比叡山口駅に到着。
出町柳~八瀬比叡山口:運賃280円、所要時間約14分
八瀬比叡山口~ケーブル八瀬:徒歩
八瀬比叡山口駅からケーブル八瀬駅までは徒歩移動です。今回は最短ルートの橋が通れなくなっていたので国道に迂回しました。
道には案内がありますが、心配なら地図アプリの経路案内を使いましょう。
八瀬比叡山口~ケーブル八瀬:徒歩約5分
ケーブル八瀬~ケーブル比叡:叡山ケーブル
ケーブル八瀬駅に到着。ここで山頂までの片道乗車券(ケーブルとロープウェイのセット)を購入しました。
なお、前述のとおり、叡山ケーブル・ロープウェイは冬季運休します。
一方、大津側(琵琶湖側)の坂本ケーブルは通年運行なので、冬季に延暦寺を訪れる際はそちらを利用することになります。
さて、車両に乗り込みましょう。のりばは階段になっています。
車両は斜めになっており、中の通路も階段状になっています。斜面に沿って急勾配を登るため、こういう形になっているのでしょうね。
なおこの車両にはエアコンが付いていないようです。窓は開いていたけど少し暑かった。
発車。急斜面をぐんぐん登っていきます。
途中にトロッコのようなものが止まっていました。保線用車両でしょうか?
ケーブル八瀬~ケーブル比叡:運賃550円、所要時間約9分
ケーブル比叡~ロープウェイ比叡:徒歩
ケーブルカーを降りてロープウェイに乗り換えます。
両駅の間は公園みたいになっていて、「かわらけ投げ」ができるようです。写真の右の方に写っている輪を通すといいらしい。
ロープウェイの駅は目の前です。
ケーブル比叡~ロープウェイ比叡:徒歩約1分
ロープウェイ比叡~比叡山頂:叡山ロープウェイ
ロープウェイはケーブルカーに比べ車両が小さいため、ケーブルカーの客が全員乗り換えると車内は満員状態。結構窮屈でした。
ケーブルカーは「ぶらーん、ぶらーん」と軽く揺れながら進みます。いい眺め。かなり登ってきたのが分かります。
奥に見えるのは山頂駅。
比叡山頂駅に到着。来た方向を振り返ると市街地が見えました。
駅名標によると、ここは標高840mだそうです。結構高い。
ロープウェイ比叡~比叡山頂:運賃350円、所要時間約3分
比叡山頂(駅)~比叡山頂バス停:徒歩
比叡山頂のロープウェイ駅からバス停まで歩きます。標識に従って進みましょう。
山頂バス停近くまでやってきましたが、夕方なので人が少なかったです。
この時間では延暦寺もガーデンミュージアム比叡も閉まっているので、筆者みたいに通り抜ける人しかいないのでしょう。
展望台からは大津の市街地がよく見えます。
比叡山頂(駅)~比叡山頂バス停:徒歩約10分
比叡山頂バス停~東塔バス停:路線バス
次にバスに乗って東塔バス停まで行きます。この区間は比叡山内シャトルバスのほか、各社の路線バスが走っています。
今回は江若交通の堅田駅西口行きに乗りました。ちなみに堅田はJR湖西線の駅で、比叡山坂本の2つ北側の駅です。
今回は坂本ケーブルに乗りたいので東塔で降りますが、このバスに終点まで乗っても比叡山横断はできます。
発車したバスは急な坂道を下っていきます。
比叡山ドライブウェイの本線と合流。
東塔バス停付近の道路はロータリーになっています。山頂から来たバスはUターンしてバス停に停車。客の乗降が終わると、再び転回してトンネルに入り延暦寺バスセンターに進みます。
比叡山頂バス停~東塔バス停:運賃250円、所要時間約5分
東塔バス停~ケーブル延暦寺:徒歩
東塔バス停から歩いて坂本ケーブルの延暦寺駅に向かいます。ルートは階段と下り坂です。
ここも案内板が多いので迷うことはないでしょう。
東塔バス停~ケーブル延暦寺:徒歩約7分
ケーブル延暦寺~ケーブル坂本:坂本ケーブル
ケーブル延暦寺駅前にある展望台からの眺めは良好。
北東を向いています。琵琶湖大橋の方向です。
ケーブル延暦寺駅の駅舎は国の登録有形文化財。昭和2年(1927年)の開業以来ずっと使われている建物だそうです。
外観だけではなく、中もレトロな感じで素晴らしい。昔の駅の雰囲気が味わえます。
観光地として訪れる価値がある駅だと思います。
2Fには展望テラスがあるようですが、このときは閉鎖されていました。
きっぷを購入して待機。時間になったので乗り込みます。山頂バス停付近とは異なり、ここは人が多かった。おそらく延暦寺参拝を終えた観光客が帰るところなのでしょう。
凝ったデザインの車内です。
斜面に沿って駅名標も傾斜しているのがおもしろい。
発車。森の中を下っていきます。
京都側の叡山ケーブルとは車窓の雰囲気がだいぶ違っていました。こちらは木々に覆われており秘境感がありますね。
建設の際、比叡山の景観を損なってはいけないと大津側から線路が見えないようにルートを決めた結果こうなったみたいです。
途中でトンネルを通るのが意外でした。
あと、ケーブルカーなのに中間駅が二駅あるのが面白かったです。中間駅は基本的に通過で、事前に係員に申し出た場合のみ停車してくれるとのこと。
「もたて山駅」で降りると紀貫之のお墓と見晴台に、「ほうらい丘駅」で降りると石仏が安置された霊窟に訪れることができるそうです。
ケーブル坂本駅に到着。
日本最長のケーブル路線というだけあって、乗車時間も長めでした。
ケーブル延暦寺~ケーブル坂本:運賃870円、所要時間約11分
ケーブル坂本~比叡山坂本:江若バス
ケーブル坂本の駅舎もレトロ。大正14年(1925年)に建てられたそうです。
駅舎を出たところにバスのりばがあります。
ところで、この時の筆者は案内看板に気づかず、比叡山坂本駅の方向に400mくらい歩いて日吉大社前バス停まで行ってしまいました。
でも目的の比叡山坂本駅行きバスには乗れましたよ。
バスは狭めの坂道を下っていきます。奥に見えるのは琵琶湖です。
歩くには少々遠い距離ですが、バスに乗ればあっという間。JRの比叡山坂本駅に到着しました。これで比叡山横断旅行は終了です。
ケーブル坂本~比叡山坂本:運賃250円、所要時間約6分
ちなみに比叡山坂本駅から湖西線の列車に乗れば1本で京都駅に戻ることが可能です。
比叡山坂本~京都:運賃330円、所要時間14~16分程度
おまけ:京阪と地下鉄で京都に戻る方法
今回乗車した比叡山坂本駅行きバスは、途中にある京阪の坂本比叡山口駅にも止まります。
この駅から京阪と地下鉄を利用して京都駅に戻ることも可能。合計運賃はJRより高いですし時間も掛かりますが、いろいろな列車に乗れるので鉄道好きにはおすすめのルートです。
世界的にも珍しい、登山してから地下鉄に直通する路面電車にも乗れます。
- 坂本比叡山口駅~びわ湖浜大津:京阪石山坂本線
- びわ湖浜大津~烏丸御池:京阪京津線(京都市営地下鉄東西線に直通)
- 烏丸御池~京都:京都市営地下鉄烏丸線
坂本比叡山口~京都:運賃620円、所要時間1時間程度
比叡山フリーパスについて
今回の旅では普通乗車券やICカードを使って比叡山を横断しましたが、出町柳~比叡山坂本駅の区間が乗り降り自由になる「比叡山フリーパス」が販売されています。
値段はおとな3,800円で、フリーパスの効力は以下の通りです。
【叡山電車】出町柳~八瀬比叡山口 乗り降り自由
【叡山ケーブル・ロープウェイ】乗り降り自由
【比叡山内シャトルバス】比叡山頂~横川 乗り降り自由
【坂本ケーブル】乗り降り自由
【江若バス】ケーブル坂本駅~比叡山坂本駅 乗り降り自由
【比叡山延暦寺】諸堂巡拝券
乗り放題に加え、比叡山延暦寺の諸堂巡拝券が付いているのが特徴です。
なお、出町柳から比叡山坂本までの通常運賃は2550円ですので、比叡山を通り抜けるだけなら通常運賃のほうが安いです。
ただ、延暦寺に参拝する場合や、途中下車を繰り返す場合、ケーブル・ロープウェイに何度も乗る場合はお得になると思います。
2024年の発売期間は3月20日~12月8日です。詳細は叡山電車の公式サイトでご確認ください。
外部リンク:お得な乗車券 | 乗車券のご案内 | 叡山電車を利用する
おわりに
今回の比叡山横断は午後遅くから始めたので、山頂に着いた頃にはお寺や観光施設が閉まっていました。そのため、本当にただ横断するだけになってしまったのが少し残念です。
まあ、筆者としてはロープウェイなどに乗れただけで十分楽しかったのですが、せっかく登ったのだから観光してから帰りたかったという思いもあります。
延暦寺諸堂は車で訪れたことがありますが、ガーデンミュージアム比叡は未訪問だったので入ってみたかった。
ちなみに時間が遅くなったのは、あるイベントのために京都を訪れていて、それを見た後に登り始めたからです。
というわけで、比叡山を横断する場合は午前中の早い時間帯に出発するのがおすすめです。比叡山には見どころが多いので、通り抜けるだけではなく、ゆっくり観光するのがいいと思います。