この記事は2023年春の旅行記part7です。
熊本駅から新幹線で鹿児島中央駅まで移動し、鹿児島市内を昼過ぎから半日で観光しました。
観光地を循環するバス「カゴシマシティビュー」に乗って城山と仙巌園へ行き、夕方に駅前に戻って大観覧車「アミュラン」に乗ります。
前回:長崎発、有明海を渡って熊本に行く(島原鉄道&有明フェリー)
※当記事に記されている運賃・料金・時刻は2023年春時点のものです。
九州新幹線で鹿児島中央へ
長洲駅からJR鹿児島本線で熊本駅までやってきました。
九州新幹線に乗り換え、鹿児島中央駅を目指します。
西九州新幹線「かもめ」のポスターが貼られていますが、西九州新幹線は現在飛び地状態で、九州新幹線と線路がつながっていません。早くつながるといいのですが、佐賀県を説得するのは大変そう。
それにしても、この時間帯は連続で「みずほ」が来るんですね。熊本を出たら終点鹿児島中央まで止まりません↓
ホームで待っていると、N700系「みずほ」が入ってきました。
はるばる新大阪からやってきたことを思うとロマンを感じます。
ホームドアが開きましたが、車両のドアはまだ開いていません。少し時間差があります。
自由席に乗りました。意外に空席が多かったです。
3列+2列の自由席に対し、指定席は2列+2列なので椅子の幅が少々広くなっています。関西圏から乗り通す場合は指定席を選ぶ人が多そうですし、自由席は空きやすいのかな?
椅子のテーブルは見慣れた感じですが、モケットの色と柄がおしゃれ。
こっちは西九州新幹線より防音壁が低いおかげか、景色が比較的見やすかったです。
のどかでいい眺め。
ところで、熊本県と鹿児島県は隣り合っているものの県庁所在地間はかなり離れています。九州全体の地図で見ると、熊本は少し北寄りの真ん中あたりにありますが、鹿児島は南の端です。
さらに両都市の間にはひたすら山地が広がっています。新幹線で結ばれた今でこそ気軽に行き来できますが、江戸時代の薩摩はまさに辺境の地だったのでしょうね。地図と車窓の山々を見ると実感として伝わってきます。
薩摩で独自の文化や気風が育まれたのも納得。地理的に中央の影響を受けにくいですし、北側を山に阻まれる一方、南には海が広がっているので琉球や大陸に目が向くのもわかります。
歴史を考える上でも地理的な要素って重要なのだと認識しました。
快適だなぁと思いながらぼーっと乗っていると、終点のチャイムが流れます。「いい日旅立ち」だったのでJR西日本所属車両ですね。
熊本発車後、約40分で鹿児島中央に到着です。約170kmの距離をこの時間で走り切る新幹線はやはり速い。在来線特急時代は、約200kmを2時間半以上かけて走っていたので時間短縮効果は凄まじいです。
新大阪まで乗換なし4時間未満で行けますし、博多が日帰り圏になりました。いまの鹿児島は非常にアクセスの良い都市です。
個人的には宮崎や大分にも新幹線をつなげるべきだと思いますし、山がちで公共交通が不便な四国にも早く新幹線を建設してほしいです。
カゴシマシティビューで城山へ
駅併設のアミュプラザで昼食を済ませ、鹿児島中央郵便局から荷物を自宅に発送。
その後、観光案内所で「市電・市バス・シティビュー一日乗車券」を購入しました。600円で上記交通機関が乗り放題になり、観光施設等の割引も受けられるお得な券です。
この券を使ってカゴシマシティビューに乗ります。シティビューは、鹿児島市内の観光地を循環するバスで、1日19便、30分間隔で運行されています。
観光客向けのバスだけあって、車内のデザインがユニークでした。
翌朝の飛行機で帰る予定なので、鹿児島を観光できるのは半日のみ。複数の観光地をゆっくり回る時間はないため、城山と仙巌園に絞って観光することにしました。
バス発車後、車窓に見えたのは「若き薩摩の群像」。幕末に薩摩からイギリスに渡った留学生たちを称える像です。
14分の乗車で「西郷銅像前」までやってきました。本当は下りて見たいですが、時間がないので車内から見るだけで我慢。
バスは城山へ登っていきます。坂道の途中には、西南戦争末期に西郷と私学校幹部が過ごしたと言われる洞窟があります。
山の上にある城山バス停で下りました。少し歩いて展望台へ。桜島が綺麗に見えます。
次のバスまで時間があるので歩いて下山することに。
急いだので15分くらいで薩摩義士碑のところまで下りられました。
この碑は、幕府の命令に従い尾張藩内で行われた治水事業において犠牲になった薩摩藩士たちを追悼するためのものです。江戸時代には、薩摩から尾張まで行くだけでも大変な負担だったことでしょう。
薩摩義士碑前バス停で山から降りてくるバスを待ちます。
シティビューは一方向に循環しています。そのためバス停は基本的に道の片側にしかないのですが、城山付近では登った後同じ道を下りてくるルートを取るため道の両側にあります。(※天文館バス停もそう)
次は「仙巌園(磯庭園前)」バス停まで行きます。約20分間の乗車です。
仙巌園観光
仙巌園(せんがんえん)は、薩摩藩主島津家の別邸です。山と錦江湾に囲まれた場所にあり、なんともいえない安心感がありました。湾の向こうには雄大な桜島が一望できます。
28代藩主島津斉彬は、仙巌園を含む一帯のエリアに、近代化・工業化のための洋式工場群「集成館」を設置しました。反射炉跡など、その遺構も見られます。
仙巌園、尚古集成館、御殿の共通券を1500円で購入して入ります。ちなみに一日乗車券を見せたらプレゼント(ポストカード)がもらえました。
なお、2023年10月1日から100円値上がりして1600円になっています。
- 外部リンク:名勝 仙巌園 – 薩摩藩 島津家別邸
入園後、まずは世界文化遺産オリエンテーションセンターへ。ここでは薩摩の近代化について学べます。反射炉の模型があり、当時の鉄の精錬方法を視覚的に理解できます。
次に反射炉跡へ。
なお、反射炉跡はオリエンテーションセンター内からガラス越しに見ることもできます。
奥へ進んでいきましょう。桜島が大きく見えますね。
石垣からどことなく沖縄っぽい雰囲気が漂っています。これは琉球との歴史的つながりが関係しているのか、単に南国風植物が生えてるからなのか、その理由は筆者にはわかりません。
御殿や庭園を見る前に、紫さつまいもソフトクリームを食べます。
他には芋焼酎ソフトクリームもありましたよ。どちらも薩摩らしいご当地ソフトですね。
次の写真は、剣術の稽古で何度も打たれてボロボロになった木です。園内にある示現流・自顕流展示室では薩摩特有の剣術について学べます。
正門↓ 現在の入り口とは別の場所にあります。
名勝仙巌園の標柱と立派な松↓
屋根が錫でできている錫門↓ 江戸時代には、藩主とその嫡男しか通ることが許されていれなかったそうです。
御殿
錫門を通って少し進むと御殿に到着。共通券を買ってあるので入ります。
非常に立派な建物で、興味深い展示品もあり見ごたえがありました。写真撮影も自由で満足度が高かったです。
島津家がニコライ2世の皇帝即位時に送った壺の複製品↓
オリジナルはロシアのエルミタージュ美術館に所蔵されているそうです。
中庭の池が美しい。
水が湧き出す音も良かった。心が落ち着きました。
御殿から外の庭園を見ると奥にドーンと桜島がそびえています。まさに最高のロケーション。
謁見の間↓ 出島のカピタン部屋と同じく、畳に机と椅子を並べるスタイルですね。
この部屋では水力発電の電気を利用し明治期から照明を使っていたそうです。
御小座(化粧の間)の天井は特殊な張り方↓
目の錯覚で広さや奥行きを感じられるようになっているらしい。ただ豪華なだけでなく、色々と工夫が施されているのが面白いです。
御殿を出て外から庭園を見ます。
桜もありました。
薩摩の進んだ技術力を感じられる設備もあります。それが高枡。
園内の湧き水を石造の水管で集め、この高枡から御殿前の池などに配水しているそうです。
展望ポイントへ
ツツジを見つつ一番奥の桜島展望ポイントまで進みます。
展望ポイントと言うだけあり、地面が高くなっていてよく見えました。
鉄道好きの筆者としては、道路と海の間の線路(日豊本線)も気になるところ。JR九州のアプリで列車位置を確認、特急が来るのを待ちました。
なお、こんなに線路が近いのに、2023年現在は仙巌園付近に駅がありません。そのためバスか車で来るしかないのですが、付近の道は渋滞することが多いようです。
ただしアクセスはもうすぐ改善されます。2024年度末頃に磯新駅(仮)が開業する予定とのことです。場所は尚古集成館の前。つまり、仙巌園正面入口のすぐ近くです。
駅が完成した頃にまた鹿児島に来ようと思います。今回は時間がなくて見られなかった観光スポットが多いのでね。
電車を見ていたら閉館時間の17時が近づいてきました。2018年大河ドラマ「西郷どん」のロケ地にもなった階段を登り、御殿の裏の方から帰ります。
途中面白いものがありました。水力で動く杵と臼です。
巨大な「ししおどし」と言うべきか、あるいは「水力シーソー」と言うべきか……。
水がだんだん溜まっていくと右のほうが重くなって杵が上がる→角度がついて水が流れ落ちる→重量バランスが元に戻って杵が落ちるという仕組みですね。
現代人にとって動力源といえば電気か化石燃料ですが、昔の人は水を使って工夫していたんだなぁ……。
鹿児島中央駅に戻る
17時の閉園ギリギリで外に出ました。
入ったのが14:30くらいだったので2時間半は滞在していたのですが、まだ見るところが残っています。
仙巌園は思っていた以上に広く、トレッキングコースまでありました。園内には食事ができる店もあるので、その気になれば一日過ごせそうです。
なお、隣にある尚古集成館本館は2022年5月9日~2024年9月末までリニューアル工事のため休館中。再訪時にはそちらも見たい。
あと、近隣の薩摩切子工場と異人館(旧鹿児島紡績所技師館)にも行きたいです。異人館は外側だけ見ておきました↓
異人館の方へ行ったので、異人館バス停からシティビューに乗ろうと思ったのですが、かなり変な場所にありました。踏切を超え海側の道を行ったところです。
歩道がなくて危ないので、このバス停は使わず「仙巌園(磯庭園)前」バス停に戻ったほうがいいと思います。
ただ、磯天神菅原神社が目の前にあるので、参拝するならここから乗ってもいいかも。
ちなみに異人館のすぐ上(北側)にあるバス停は、シティビューではない別のバス用なので注意。シティビューが来るのは「異人館(磯海水浴場)前」バス停です。
バスが来たので乗って帰ります。車内は結構混雑していました。シティビューは行きと帰りで違う道を通るので車窓風景も変わって面白い。
「鹿児島駅(かんまちあ)前」バス停に行く際、JR貨物鹿児島貨物ターミナル駅の前を通ります。
ここはオフレールステーションではなく貨物列車が直接来ているみたいです。
桜島はどこからでも見ますね。鹿児島のシンボルと言われる理由がよくわかる。
大観覧車「アミュラン」
鹿児島中央駅に戻り、アミュプラザの「ざぼんラーメン」で「せご丼セット」を注文。
炙りチャーシューがたっぷり乗った「せご丼」とラーメン(ミニだがそこそこ量がある)にギョーザ3個が付いて1200円(税込)はお得! 大満足でした。
お腹もいっぱいになったので屋上に移動し、大観覧車「アミュラン」に乗ります。
公式サイトには「ご家族、お友達、恋人同士でぜひご搭乗いただきたいアミュ自慢のアミューズメント施設です」と書かれていますが、筆者は一人で乗りました。
もちろんここからも桜島は見えます。
ちなみに床、天井、椅子が透明の「シースルーゴンドラ」も選べたのですが、数分待ちだったので普通のにしました。結構高くて怖かったから普通ので正解だったかも……。
正直、普通のゴンドラでもかなりの恐怖を感じました。自分は高所恐怖症ではないと思っていたけど、心臓バクバクになったゾ……。
ここまで高さのある観覧車に乗ったのは初めてだったからかもしれません。
鹿児島中央駅の新幹線ホームがよく見えます。在来線と直角に交差する独特の配置がすき。
なんだかバスや路面電車がおもちゃみたいに見えます。現実の風景なのにジオラマ感がすごい。
ちょっと怖かったですが、普通では見られない景色を味わえて楽しかったです。
この観覧車はサイズが大きいので乗っている時間が長い(一周約14分30秒)ですし、大人500円は安いと思います。全国を見ると1000円くらいする場所もありますからねぇ。
高所恐怖症でない方はぜひシースルーも試してみてください。
宿(ネットカフェ)へ
今夜の宿はネットカフェにします。一般的なビジネスホテルと違い、滞在時間で課金されるのでなるべく遅くに入ったほうが安上がりです。
ちょうど観たい映画があったので、アミュプラザの映画館「ミッテ10」で21時半くらいまで映画鑑賞しました。
その後、鹿児島中央駅前から路面電車で天文館へ。一日乗車券が使えるので追加費用は不要です。
時間が遅いのに結構乗っていました。やっぱり鹿児島って都会ですよね。
天文館周辺には快活CLUBが2店舗ありますが、今回は「天文館通り店」に入りました。アーケードのほうです。特に深い理由はありません。
シャワールームが多くて使いやすかったです。完全個室は真っ暗にできるし、防音もしっかりしているので即寝られました。
昼過ぎからの慌ただしい鹿児島観光でしたが、短時間の割には色々見られたので満足感があります。
次回は鹿児島空港からLCCで関空へ飛んで家に帰った話です。